ほんわか本読み

本好きのブログ始めました。生きづらさを少しだけ軽くしてくれる本を紹介します。初心者ですがよろしくお願いします!

Nのために 湊かなえ 誰かを思う故の罪は罪なのか

 

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    「Nのために」 湊かなえ

 

 この本は読み終わった後にいろんな感情の余韻を感じて、感情が揺さぶられた本だった。

 

 誰かのための正義や愛は、その人の中の基準であり、果たして相手はそれを望んでいるのだろうか。自分が相手にとっていいのではないかと思うことをその相手はそれと同じように感じているのだろうか。相手が大事であるほど、距離が近くなるほど、自分と相手は同じ考えなのではないか、そう思っていてほしいと、歪んだ愛情になることがある。そのすれ違いで思わぬ悲劇が起きたりするのだ。それは、現実社会でも親子や恋人、仲のいい関係、様々な関係の日常でも起こりうることだ。

 

 誰かのために思う故の罪、立場が違えばそれは正義でもあり、正解がない罪それは罪なのだろうか。考えても正解がでない問題だと思う。いくらその問題に関係する当人の中で正義だと認識があっても、それが法に触れるものであれば話は変わってしまう。客観的に見ると社会の中では罪と見なされるからだ。この物語でもそういった哲学、倫理の問題のような事件が起こる。誰かが誰かのためを思う故に起きてしまうのだ。

 罪にあたいするような問題は確かに許される問題ではないと思う。しかし、その人が思う誰かのための気持ちはその本人にはすぐではなくても、いつか届いてほしいと願う。