木曜日にはココアを〜いつか日常のささやかな出来事が何かに繋がる事を願って〜
「木曜日にはココアを」青山美智子
この本は、短編集から構成されていて、しかしその一つ一つがお話の中のどこかで繋がっている。物語の中ではこんなところでというところで繋がっている。その物語それぞれの主人公さえ気がついていないような所で何かが繋がり、人と人も繋がっている。
これはこの本だけではなく私たちの日常でも起こりうる事ではないかと思った。その日常を過ごしている当人は気づいていないが、その気づいていない所で何かが何かのためになっていたり、誰かが誰かの役にも立っている事があると思う。こんな事をして意味がない、何にもならないと思う事もあるけれど、もしかしたらそれにはとても大きな意味があるかもしれない。どんな出来事でも気がついていないだけで、必ず意味があるのだと思わせてくれるような物語である。
また、人にはその人にしか分からない物語があり、その人の一面だけでは分からないその人だけのストーリーがある。この本を読むと日常で関わる人の一面だけを見て判断し、その人の本当の思いや背景にある物語は全然分かっていない、分からないなと考えさせられる。
この本はそれぞれの物語が暖かく、そして読み終わった後ふと立ち止まった時、今の自分でも何か意味があるのではないかと思わせてくれるような小説である。
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